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水族館イルカ問題 [時事]

この問題はいろいろと複雑そう.

1.水族館の存在意義
水族館(さらに動物園や植物園)の存在意義とは何だろう.始まりは植民地から集めた珍しい生物の収集,さらに見世物小屋的なものであったと思われる.昔は自然も豊かで野生生物も多く,捕まえてもまた繁殖して,いなくなることなどないとの考えが支配していたと思う.また人類は万物の長であり,下等は野生生物が1種類や2種類絶滅しても気にならなかっただろう.
その後環境問題などがクローズアップされ,あんなに沢山いた野生生物も絶滅する事に気づく.しかし絶滅危惧にあるからこそ貴重で動物園などで見世物にする,こんな状態が続いてきた.

さらに環境破壊進み,絶滅生物が急速に増え,やっと問題の大きさに気づいた.「自然環境の保護・保全」という考えが広まり,現在では動物園・水族館の存在意義として野生生物の保護,繁殖といった社会的役割が加わった.

動物園では希少生物の研究や繁殖活動について耳にすることがある.もっとも有名なのはパンダかもしれない.日本でもトキ,コウノトリの繁殖,放鳥もその一環とみていいだろう.繁殖させたパンダを外国に寄贈するなど政治的利用など問題点も多い.また放獣・放鳥なども生息環境が十分改善されているか,いったん自然界から絶滅すれば,その後生息環境も変化し以前とは違う環境になっている可能性もあり,そこへ放獣・放鳥してよいものか,そう考えると動物園のいった環境の中での飼育も必要になる.
  
2.水族館の展示生物の入手方法
一方水族館についてはどうだろう.日本は島国で海に囲まれている.魚は豊富にいるとの思い込みから水族館の研究活動はあまり気にしていなかったし,聞くこともなかった.もちろん一部では繁殖研究など行っているだろう.しかし陸上動物と比べ魚類は絶対数が多い.展示用に繁殖するより捕まえた方が楽.水族館での展示生物は捕獲で入手しているケースがほとんどだろう.

今回イルカ捕獲が問題になっているが,イルカが哺乳類であることも問題を大きくしたのかもしれない.欧米では日本の捕鯨に対するアレルギーが強い.感情的になっているところもある.しかし世界に目を向けると繁殖が主流になりつつある.欧米の感情論に屈するわけではなく,冷静に考えて繁殖が可能ならそのほうがいい.日本だけ向きになってイルカ漁を続ける必要はない.

追い込み漁であろうが他の方法の漁であろうが,繁殖技術があるならば繁殖でまかなうべきだ.繁殖技術は非常に難しいというのは漁をする理由にはならない.難しいからこそチャレンジすべきだ.たとえ現在イルカが自然界に十分存在していようと繁殖技術の発展のためにも水族館のイルカは繁殖でまかなうべきだ.将来絶滅危惧にある近縁種の繁殖事業などに役立つこともあるかもしれない.(もっと早く日本の水族館がイルカの繁殖技術を発展させていればヨウスコウカワイルカも救えたかもしれない)

さらに他の魚類でも減少が問題になっている.クロマグロ,ニホンウナギなど.そろそろ水族館も積極的に繁殖研究を行うべきだ.
ところで葛西臨海公園の水族館ではマグロ大量死を経て,展示再開に向けて動いている.またマグロを捕まえて展示するのだろうか.ここで一案だが,日本に世界に誇れる養殖技術があるではないか,なぜ利用しないのか.そう近大マグロである.完全養殖のクロマグロは日本だけ.マグロ展示再開に向けて近大と協力し近大マグロを展示してはどうだろう.

3.水族館の数
日本には日本動物園水族館協会(JAZA)加盟の水族館が63施設ある.さらに非加盟のものも含めると100施設を超えるらしい.一説には300施設とも.それだけ日本人は魚に親しみを持っているのかもしれない.ただ,さすがに正直多すぎではと思う.それぞれの施設が展示用の魚を捕獲し,また海外から輸入する.展示種が重なっているものも多いだろう.そう考えると不必要な捕獲ともいえよう.

また規模もまちまち.研究・繁殖活動などできない施設も多いだろう.捕獲せず繁殖種のみ展示しろといわれても困る施設が出てくる.繁殖研究には多くの人や莫大な費用がかかる.日本の水族館でこういった研究活動ができるのは限られるだろう.
環境省やJAZAあたりが音頭をとって,整備し直す時期ではないだろうか.重要なのは施設間の調節が必要だ.全ての水族館でイルカを繁殖させる必要はない.国内に2〜3施設に絞って繁殖可能な施設に研究者,飼育員などの人材を集中させ,研究費で援助し,そこで繁殖した魚を他の施設にも貸し出し展示してもらう.

でもこんな簡単なようことがなぜできないのだろう.一つは経営の問題だろうか.今水族館がブームのようではあるが,これだけ多いと経営が大変なところも多いだろう.手っ取り早く漁で取ってきて展示するとなってしまう.二つ目は法整備の不備.動物園や水族館の明確に定義した法はないそうだ.あまり法で縛り付けるのは好ましくないが,放置するのはもっと問題でしょう.

4.イルカショー
今回はイルカの入手方法が問題となったが,展示に関しても問題が多いようだ.イルカにショーをさせるのは如何なものかという意見だ.やはりイルカが哺乳類であることが影響していると思われる.(タコがワールドカップ勝者を予想させるショーは非難されていないようだ.タコは下等だから?もっとも敗者にされた関係者からは「茹で蛸」にしてしまえと非難されたそうだ.)

動物園を中心に単に展示するのではなく生態展示をする施設が多くなった.動物園・水族館の存在意義として研究・繁殖活動をあげたが,それだけではない.教育施設としての面もあると思う.その点では生態展示は素晴らしいと思う.イルカについても生態展示ができればいいのだが….いったいどんなものになるのだろう.

生態展示とは別に「イルカは頭がいい」とか「イルカの身体能力の凄さ」いうことを子供たちに見せるためにショーはあってもいいような気もする.ただ現状では施設の提供するショーは単なる見世物で収入源の柱としか考えていないように感じる.イルカショーの内容についても見直しの時期ではないだろうか.教育目的としてのプログラムを検討すべきと思うし,できなければ潔くショーは廃止とすべきだ.

5.水族館の特徴作り
どこの動物園も水族館も同じような展示と思うことがある.趣向を変えてはいるものの展示種が同じ.マグロがいて,イワシの群れも,同じ水槽にサメもいる.ときにはジンベイザメも.カラフルな熱帯魚にアシカやイルカのショーに,ペンギンさんも.

施設の数も多く,展示も同じようなら競争も激しくなり,経営困難なところも出てくる.そこでイルカショーで集客をはかるらしい.イルカショーは施設の収入源としては手放すことができないらしい.今回のイルカ漁による入手ができなくなると繁殖できない施設はイルカショーも存続困難となり,つぶれるところも出るだろうとの意見がある.

こういった意見は経営者が無能だというだけのことだ.経営者の怠慢だろう.旭山動物園の成功をみればはっきりする.他のところとは違うことをする.もうちょっと各水族館で特徴作りをすべきだろう.一時は大回遊水槽のような規模を追いかけた時もあったが,展示内容で勝負すべきだ.前述の近大マグロもそうだ.ただのクロマグロを展示する水族館は多いが,日本の誇る完全養殖技術で生まれた近大クロマグロを展示している水族館はない.不思議なくらいだ.

金魚だけの水族館なんかもいい.養殖技術が確立しているし,種類も多い.展示次第でお洒落な美術館のような雰囲気もいいかも.他にもイカ・タコだけの水族館とか,クラゲだけの水族館….イベントなどではあったかもしれないし,コーナーとして常設している水族館もあろうが,「だけ」となると常設水族館はない.中小の水族館の生き残り策としては有効ではないかと思う.

6.イルカ追い込み漁
最後に問題の発端のイルカの追い込み漁について考えてみたい.
日本の水族館のイルカの多くがこの追い込み漁に依存しているが,今まで書いてきたようにイルカの入手方法として世界的には繁殖が主流になりつつあり,それが当然だと思う.

しかしイルカ追い込み漁が悪だといっているわけではない.捕鯨と同じで,その国や地域の文化であれば保存すべきである.今回問題を大きくしているのはやはり日本の捕鯨問題同様,哺乳類であるイルカの漁に対する欧米人のアレルギー反応であろう.「残酷」との意見もまさに感情的非難である.その根底にあるのは映画「ザ・コーヴ」だろうといわれている.イルカの血で染まった海の映像が焼き付いているのだろう.
イルカ追い込み漁は単に残酷な漁という先入観を払拭するのは非常に困難だ.地道に文化的面を訴える必要がある.発信する組織などの整備も必要だろう.一方漁を実施する側としても文化保存のためとしての最小限の漁にとどめ,不必要なイルカ捕獲は慎む配慮が必要だ.捕鯨も縮小しイルカ漁の中止になっては鯨食文化が廃れてしまう.何とか残してほしいものだ.

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