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日本一の防潮堤を飲み込む津波 [時事]

今回の東北関東大地震で発生した津波は宮古市にある日本一の防潮堤でも防ぐことができなかった.自然の猛威の恐ろしさ.

このニュースを受けてネットでは事業仕分けでスーパー堤防を無駄遣いとして廃止と判定した蓮舫大臣が叩かれている.災害対策を仕分けして,国民の命をなんと思っているのか,あれば被害を少なくすることができるのではといった意見だ.石原都知事も同じ考えのようだ.

しかしそうだろうか.どんなに立派なものを作っても災害を押さえ込むことはできない.100年に1度の災害に対応しても200年に1度の災害は防げない,200年に1度の災害に対応しても500年に1度の災害には…1000年に1度の災害には….結局きりがない.蓮舫大臣も堤防が無駄だといっているのではない.あくまでもスーパー堤防が無駄なのだ.現実的な防災設備を整えるのが重要だということだろう.

今回の震災では日本一の防潮堤と信頼しすぎて自然の力をあまくみていなかっただろうか.よく平和ボケという言葉を聞く.日本では長らく戦争に直接巻き込まれてこなかったことから平和であることが当然となり,実際の他国での紛争,戦争にたいし理想論ばかり上げ,現実と乖離してしまっている状態だ.災害についても日本人は災害ボケに至っていないだろうか.

現在の科学をもってすれば災害が発生しても解決できる.災害など恐れるに足らない.阪神淡路大震災も喉元過ぎれば何とやら.まさに災害ボケといえよう.さらにスイッチを押せば電気が付き,蛇口をひねれば水が出て,24時間買い物もでき,こんな便利な国に住んでいると,こんな生活が当たり前のようになってしまう.すべてにおいてボケている.水や電気のありがたさを忘れてしまっている.今回首都圏では計画停電があったが,あらためてこれらの有り難さを実感しただろう.

今回の震災で災害ボケに気づくことができたと思う.ただその代償は大きかった.今回の震災から学ぶことは原点にもどることだ.それは自然の脅威に人間が太刀打ちなどできない,驕れるな.スーパー堤防など作っても無駄だ.現実的な防災設備で十分.どっちにしても自然の脅威をおさえこむことなどできないのだから.むしろ実地に即した防災を考えるべきだ.たとえば地震のあと津波が来るのは当たり前と思え,後ろを振り向かずとにかく高台へいく.そのために避難しやすい経路(道路)や高台まで距離がある場合は地域ごとに避難用に使えるビルを作るいった防災町作りが重要だろう.

政治家や官僚は公共事業として大きく目立つ世界で一番の箱物を作りたがる.学者も研究室にこもりシュミレーションなどして,大きな構造体の必要性を訴える.その方がインパクトがあり,注目されるから.しかし本当に必要なのは実地に即した防災計画が重要だ.高齢化社会では避難する人も高齢者.早く走れるわけではない.中には寝たきりも人もいる.こういった人をどう避難させるか.それはコミュニティーの問題もあり,霞ヶ関の省庁の中で計画を立ててもダメだ.コンピューターでのシュミレーションでもわからない.全国規模で一律の設計のスーパー堤防を作るのではなく,各地域にあった防災設備が重要であり,またそれらさえ過信せず自然の脅威を忘れないことと思う.

最後に自然の脅威などといっていると,これも理想論でおまえもボケているといわれそうだ.実際政治の舞台ではこんなことを言う人はいないのだろう.しかしこういった概念も重要だと思うし,そのことに気づかなければ,今後も意味のない防災設備を作り続けることになるだろう.政治家・官僚などはあまりにも自然畏敬の念がないのではないか.(もちろん例外の方もいるだろう.)早く気づいて欲しいものだ.

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コメント 6

ゆう

> 200年に1度の災害に対応しても500年に1度の災害には…
> 1000年に1度の災害には…

まさにその通りですね。防災を理由に公共事業を行いたい企業と献金を受けたい政治家、天下り官僚の癒着する日本の構造こそが諸悪の根元だと思います。被害を受けて海岸に寝転がるのは現地の被災者ばかり。公共事業で儲けた奴らは、東京の一等地のビルの役員室でふんぞり返っています。

政権交代で少しは改善していっているようですが、限りある予算で効果的に対策できるよう、しっかりと監視していかなくてはいけないと思います。


by ゆう (2011-03-20 15:36) 

ぶた

ご意見に賛成いたします。
今回の災害以前から、何か被害があれば「想定外」の文字ばかり。。。
たった2000年前の出来事さえはっきり覚えていない我々に「想定」できる災害なんて甘っちょろいものだ、という事を素直に認める時が来ていると思います。
環境対策にせよ災害対策にしても、どうも人間の放漫さが感じられてなりません。
ある程度の災害・異変までは防げるが、大災害に対しては逃げるしか無いのだ。という教育を徹底しそれでもそこに住むのならば覚悟せよという意識が皆に必要と思っております・・・
by ぶた (2011-03-20 20:38) 

Y

ぶた様コメント有り難うございます.
どんなことにおいても慣れというものがあります.地震国日本では地震は当たり前.津波警報がでても大したことない.災害に対しても慣れてしまう.

しかし大震災を経験した人は頭の片隅に災害の恐ろしさが残っているでしょう.今回震災に遭われた地域でもチリ大津波を経験した方が多いようです.もちろん高齢の方ばかり.

こういった高齢の方の経験談は重要で,地域の小学校などで教育教材として活用すべきでしょう.(もちろんやっていたでしょう.今回はそれ以上,想定外の災害だった)

都会では地域のコミュニティーは崩壊し,隣に住んでいる人さえ知らない状態,ましてや高齢者と若者の接点など無い.過去の経験談を伝える場が無いのが現状ではないでしょうか.

さらに避難所での状態をテレビ等で見て普段からのコミュニティーのあり方の重要性みたいものを感じました.
by Y (2011-03-21 10:51) 

Y

ゆう様,コメント有り難うございました.
> 公共事業で儲けた奴らは、東京の一等地のビルの役員室でふんぞり返っています。

まさにその通り.復興に向けてまた儲かると皮算用しているかもしれません.

復興への公共事業は地元企業にお金を落とすべきでしょう.しかし地元企業は壊滅的被害をうけ,受注できないか?結局在京の大手ゼネコンが受注するのでしょう.なんだか歯痒い感じがします.
by Y (2011-03-21 11:04) 

ライラクス

ティルトトランスフォーマーの件でたどり着きましたが、ふとこの記事が目に留まりました。

私は東南海地震の発生地帯・高知県在住で、津波到達予想地帯に暮らしています。あなたのご意見にとても頷かされました。

私の周囲では、避難訓練で地震が起きたら近くの避難場所となってる学校の校庭にゆく、などという時代錯誤がまかり通ってます。いざ大津波が来たら全員流されて一巻の終わりです。

津波は時速100キロ前後の猛烈な速さですから、その轟音を察知してから全員が校舎へ逃げ込み、かつ安全な高さまで階段をかけのぼるのは素人考えでも困難です。狭い場所に人が殺到して大混乱になるのが目に見えてます。

今回被災地域の首長で唯一亡くなられた加藤大槌町長は、地震後に職員全員を庁舎の前庭に集合させていたところで津波に巻き込まれました。職員も全滅同然です。津波が来ても助かった首長はほぼ全員が、役所などの屋上に移動してました。

まず高いところへ避難する。それを地震学者がことあるごとに警鐘として発言していますが、いざ実際に地域でマニュアルを作ると、そういうプログラムを組むのは当然素人ばかりですから、基本的なことがすっぽり抜けてしまいます。

というわけで高知県には津波避難用のタワーすらほとんど見かけません。こういうことは町や村など、郡部のほうがむしろ積極的に取り組みます。ですが肝心要となる人口の多い市レベルの動きは緩慢としたもので、予算も微々たるものです。
by ライラクス (2011-03-25 20:47) 

Y

ライラクス様 コメント有り難うございます.

あるニュース番組の中で防災の専門家が現地を視察して「今回防潮堤はある程度被害を抑えることができた.さらに沖合に防潮堤を作るべきだ」と発言していました.専門家といわれる人たちの防災の考え方は今回の災害をみても一向に変わっていないようです.

一方ある集落では日頃から独自に避難訓練をしている.避難経路はリヤカーが通れる幅に拡大.リヤカーに高齢者を乗せて住民ぐるみで避難するそうです.訓練ではストップウオッチでタイムをとってました.こういったことが重要なのでしょう.

むしろ問題なのはライラクスさんの言うとおり都市部なのかもしれません.都市部は平野なので海岸から高台まで遠いです.今回の津波でもわかるように結構内陸部まで襲ってきます.さらに都市部の人的交流は薄く,助け合って避難することができるでしょうか.パニックになって我先にとなりそうな気がします.特に高齢者などの避難弱者への対応が問題となるでしょう.
by Y (2011-03-26 07:20) 

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